原作は、アフタヌーンで連載中の『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』です。
コミックの実写化は、原作ファンからハードルが高い期待を受けてのスタートとなるので、キャストのみなさんも気合いが入っていることと思います。
今回は原作とドラマ版の比較と見どころを書かせて頂きます。
原作コミックの登場人物とドラマのキャストの比較
原作の岸京一郎はお世辞にも美形ではなく(HPではイケメンの設定がされていますが…)、嫌みったらしく険のある細目が印象に残らざるを得ないひょろ長い病理医です。
ドラマ上の演出なのか、長瀬さんに合わせたのか、原作ほど性格は悪くなく、ちょっと可愛く一面もあります。
(原作の岸京一郎もある意味可愛いのですが)
ヒロインの宮崎智尋も決して美人の設定ではなく、少し天然なところもあるので、武井咲さんのイメージとは少し合わなかったのですが、智尋の一所懸命さが武井さんにぴったりで、ごく自然に見えました。
驚いたのは岸京一郎の元指導医である中熊薫先生。その筋のひとっぽい凄味は原作のままですが、原作では硬派にみえる中熊先生がナンパキャラになっていました…。
華のある北大路欣也さんだからでしょうか。びっくりしましたが、妙にハマっていました。
ぴったりだったのは、小雪さん演じる細木まどかです。無駄に色気をふりまくところといい、少し退廃的な感じといい、とても魅力的でした。
第1話は原作ストーリーのどのあたりに対応?
ストーリーは前半30分が原作の第1話「岸先生、悪人です!」です。
森井智尋が、患者を救うために懲戒免職レベルで病院のルールを破り、神経内科を辞めて病理に押しかける話です。
それでも何とか患者を助けたいと思った智尋は、担当医の机を無断で開けてPCに不正ログインをし、検査の予約を書換えようとします。
PCのログインパスワードがわからずに、担当医の机を破壊しようとするシーンが、原作ほどの盛り上がりがなかったのが残念です。
あのシーンは今まで周りの空気に流され、自己主張できなかった智尋が(倫理的に極めて問題のある方法とはいえ)自分の意志を押し通そうとする場面です。
この事件をきっかけに智尋は神経内科を辞めることとなり、病理に転がり込んでくるのですが、智尋が清々しい笑顔を浮かべているのはあの大胆なルール破りの葛藤を経たからだと思います。
後半は第2話「岸先生、ご立腹です!」です。
診断結果を巡って呼吸外科の藤原先生と大げんかをした挙げ句、やりこめてしまう話です。
軽いノリで描いていますが、判断の難しい肺炎と肺癌の判別方法や、それが確かに癌細胞であると証明するために、片っ端から可能性のある腫瘍を調べていく過程が丁寧に描かれていて、病理の難しさと大変さを感じさせます。
病理医は全国の医者の内、約0.7%しかいません。
しかも科を横断する幅広い知識とそれを活かして即断するための決断力が求められます。
普段患者に接しないため、医療業界外の人には馴染みのない職業ですが、このドラマはそれを親しみやすく見せてくれます。
また、ドラマで使われている機材は実際に病理で使用されている機材を使用しています。
臨床検査技師役の野村周平さんが、手早く、かっこよく使いこなします。
ちょっと専門用語は多いですが、専門用語は全部スルーしてもドラマとして楽しめる作りになっています。
原作の第2話では、智尋と臨床検査技師の森井、智尋と細木先生の距離の縮まるエピソードなんかもあるので、もう少し後に出てくるのだと思います。
原作では第8話で初登場する中熊先生がいきなり登場してくるので、ちょっと順番は前後させる作りなのかもしれません。
長瀬さんの拗ねたような顔、素敵ですよね。
次回は救急救命に急性アルコール中毒で患者が運び込まれてくるお話です。
原作では2巻に収録されている第5話「岸先生、嘘つきがいっぱいです!」と第6話「岸先生がまた何か言ってます!」が元になっていると思います。
原作とはまた違った華やかさのある、ドラマ「フラジャイル」の今後が楽しみです。